- 治療について - 痛みの少ない麻酔方法
痛みの少ない麻酔方法
「歯科医院にかかるのが嫌なのは、麻酔が痛いから」と言われる場合が多いです。しかし、現在では昔と違って痛くありません。当然、採血の時よりも痛くありません。それは何故でしょうか?無痛の麻酔をする上で一番大事なのが、最初に注射針を刺す場所です。30年以上前は、歯に近い歯茎にいきなり刺しました。これは角化歯肉と言われる部位です。ここは非常に知覚に富みますので、とても痛いのです。更にこの角化歯肉は引っ張っても伸びませんので、無理やり薬剤を注入する事になります。これが飛び上がるほど痛いのです。当院では、この様な角化歯肉に麻酔針を最初に刺すことはありません。もっと頬っぺたに近い、歯槽粘膜という部位に最初の刺入を行います。ここの歯槽粘膜は引っ張ると伸びる粘膜です。引っ張った状態で麻酔針を刺すと殆ど痛みは感じません。それは引っ張られている感覚に加えて、粘膜を引っ張ると痛覚を感じる痛点も散らばるからです。それは、痛みを感じる受容器が碁盤目状に並んでいると考えて頂くと良いのです。この受容器に針が当たると、脳に痛みを感じさせます。よって、粘膜を引っ張るとこの碁盤目状の構造も伸びるのです。すると針の太さより碁盤目の方が大きくなるのです。結果的に、痛みの受容器にはヒットしないのです。
この他にも
- 歯科用の麻酔針は31Gと言うような、採血に使う針より非常に細い針です
- 当然、使い捨ての注射針を使います。よって先がシャープです。
- 電動麻酔器を使います。
- マイクロスコープで針先を見ながら麻酔をすると、注射針が粘膜に少し刺さった状態で薬液を注入する事が出来ます。
- 麻酔の極意は待つことです。歯槽粘膜が十分痺れた後に角化歯肉に麻酔をします。
電動麻酔器
日本で使われている局所麻酔薬は塩酸リドカインが主に使われています。しかし、欧米ではセプトカインと言う麻酔薬が多く使われています。この麻酔薬はもっと効くそうですで、早く日本でも発売される事が期待されています。