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- 治療について - 歯のヒビ

歯のヒビ

どんな歯に起こるか

虫歯で歯が割れる訳ではなく、咬む力(咬合力)により割れるのです。つまり自分自身の咬む力で壊してしまうのです。

それは多くは根管治療を行った歯に起こります。つまり俗にいう神経を取った歯に起こります。それは、根管治療の際にはどうしても歯根の中を削って治療をしなければなりません。つまり、パイプの様な形の歯根の内面を削りますので強度が落ちるのです。

また、滅多にはありませんが根管治療をしていない歯でもヒビが入って割れることがあります。しかし若い人には殆ど見られません。あとは上顎の前歯に関しては加齢とともにヒビの様な線が入ってくる場合もあります。

どの部位の歯に起きやすいか

根管治療をしてある歯の場合は、根管内の削る量に依存する場合が多いので、部位的な差はそれほど有りません。しかし、根管治療をしていない歯は圧倒的に奥歯です。それも一番、奥の歯です。これは顎関節というハサミに例えると支点にちかい部位なので、強い力がかかりやすいからです。

歯根のどの部分にヒビが入ったり折れたりするか

歯根のあらゆる部分に起こります。歯根が垂直的に真っ二つになっている場合や、水平的に折れている場合もあります。又、根の先だけ垂直的にヒビが入っている症例もありました。

咬み合わせとの関係

歯が水平に摩耗して、咬む面が平に近い人はあまり破折やヒビは起こしません。つまり臼でそば粉を挽くような咬合や歯ぎしりをする人です。逆に、ハサミの様に決まった運動で咬む人は歯根破折を起こしやすいです。形態的には歯の山、専門的には咬頭といいますが、これがくっきり残っている人です。

被せものとの関係

エビデンスがあるかは怪しいですが、経験的には奥歯、特に下顎の大臼歯に健康保険で行ったインレーと言う金属が入っている場合は、そのインレーが楔になって折れる場合があります。専門的にはMODインレーです。根管治療を行った奥歯に関しては、被せておくのが原則です。それは歯冠と言う上部から根に向かって垂直的に歯が折れることが多いからです。被せておくことによりその様な割れ方はかなり防げます。

被せものの土台との関係

根管治療を行った後は、歯の崩壊が多かった場合には、土台を作って被せます。つまり真っ平の様な場合、被せることが不可能ですので、根管の中に支持を求めた出っ張りを作るのです。この土台の材質が問題なのです。15年以上前は、ほぼ金属で土台を作っていました。適合性は良いのですが、この土台を作るのに型を採る必要があるのです。よってかなり根管上部を削っておかないと型が取れないのです。よって過剰切削により強度を失って折れるのです。金属と歯の曲げ強度が違うという説もありますが、どちらかと言うと過剰切削が原因と思われます。この金属製の大きな土台が奥歯に入っていた場合には、歯根に対して楔が入り歯根が破折してしまう場合がかなり有ります。現在では、健康保険にもグラスファイバーの土台が導入されています。この場合、型を採る場合は殆どありませんので、過剰切削を起こしにくいのです。よって歯根破折の軽減には繋がっていると思います。

歯が無い部分の問題によるもの

親知らずを除く27本の歯が全て存在している場合と、どこかの奥歯がかなり無い場合とでは、残った歯に加わる力は大きく違います。たとえ何本かの歯の根管治療を行ってあっても、殆どの歯がそろっていて、咬み合わせも良い場合は、個々の歯の使用頻度は分散されます。しかし、片顎の歯のどちらかを抜歯したままに放置しておいた場合、咬める側でしか咬まないのが普通です。この様な場合で、この咬む側に根管治療歯が集中していた場合には、使用頻度が高まるために折れやすくなります。この場合は、反対側で咬める様に、インプラントや義歯を検討するべきです。

顔面骨格によるちがい

日本人には、縄文人にルーツを持つ顔立ちと弥生人にルーツを持つ顔立ちが存在します。一般的に縄文人系の人はがっちりした骨格をしています。そのために、咬む力も強いのが特徴です。俗にいうエラの張った顔です。この系統の骨格をした人は、歯根破折をしやすくなります。また、矯正治療にも時間がかかる傾向があります。弥生系の顔立ちはこの逆です。

検査方法

根管治療をしていない歯については、LEDライトの様な強い光を当てて光の屈折具合を見るとヒビを見つけられる場合があります。

根管治療をしている歯に関しては、先ず症状があるかをお聞きします。腫れたり痛みが有るか?そしてそれらが有った場合は、レントゲンを撮影します。通常のレントゲンで発見できる場合もありますが、立体では評価を出来ないので、歯科用CTを撮ります。ただし、これで発見できるのは、ヒビではなく、完全に歯が折れている場合に限られます。それは、ヒビの場合は、歯質がくっついているので、隙間が存在しません。この様な場合には、いくら立体で評価できるCTと言えでヒビは見つけられません。

また、歯根が垂直に折れている場合には、歯周病ではないのに、歯周ポケットを形成する事があります。よって歯周病検査も必要になります。そしてCTでも診断が付かない場合は、麻酔をしてから歯茎を剥がして歯根を露出させて観察して診断をする場合があります。

治療方法

歯冠部(口の中にでている部分)のヒビで、歯髄が生きている場合は、咬み合わせなどをみて、予防的に被せた方が良いかを検討します。その場合必ず、セラミックと接着性のレジンセメントを使用します。更に、ヒビにより症状がある場合、つまり痛い場合、根管治療をして被せて残す場合もあります。しかし、この場合どこまで折れているか予想が付きにくく、根管治療をしても抜歯をしなければならない場合も有ります。

歯根部(骨の中に入っている部分)の場合、歯周ポケットが有っても、痛みもそれほどなく、CTにより骨の欠損もそれほど認められない場合は、経過観察とします。これは破折しているとは限らないからです。完全に真っ二つに折れていた場合、接着剤で貼り合わせるような方法を提唱している歯科医師もいますが、殆どの症例で、その様な事をしても再度破折します。よって抜歯をしてインプラントを検討した方が良いです。

予防方法

神経を取るような虫歯を作らない。つまり根管治療を受けるような歯を作らない。

極端に硬い食品を常食しない。

・硬い炒った豆
・豚足
・硬い煎餅
・硬いスルメ
・硬いアメ

つまり、コリコリした食品を避ける事です。たまに食べる分には問題ないのですが、毎日食べていますと、歯に対する影響は無視できません。よく咬んで食べましょうと言う事は、適度の硬さの食品を何回も、咬んで食べましょうと言う意味です。

就寝時に喰いしばる癖がある場合は、朝起きると肩こりが激しかったりする場合は喰いしばっていると思われ、歯にヒビが入る原因の一つになります。この様な場合は、夜間就寝時に上顎の歯列に装着するナイトガードを入れてい置くのも良いです。健康保険の対象となります。歯並びを治しておくのも良いです。

歯根破折

抜歯をした歯を鉗子で持って、マイクロスコープで撮影した画像

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