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- 治療について - 根管治療後の不具合

根管治療後の不具合

 

どうして、神経を抜いたのに痛むの?

歯の神経をとる。何か歯の中に糸のような神経があり、それを絡めとる様なイメージだと思います。しかし、実際には神経だけではなく、細胞もあれば血管もある人体の中の組織で、歯髄と呼びます。この部分が虫歯や歯のヒビにより感染を起こして壊死をしてしまった場合に、この神経(歯髄)を取るという処置を行います。もう感覚を司る神経も無いわけなので、痛むわけはないと思うのが普通です。しかし、実際には治療後にずっと痛みが続いたり、咬んだ場合に痛む場合も多いのです。この場合、歯が痛いわけではなく歯の周囲が痛い、というのが正解です。

それは歯を包んでいる歯根膜と言う部分に炎症をおこすからです。それではどうして歯根膜に炎症を起こすのでしょうか?それは歯の構造に関係します。歯は必ず根の先に孔があり、ここから神経や血管が入っていて循環されていたのです。しかし、歯髄が壊死をしてしまった場合や治療が不適切の場合、この根の先の孔(根尖孔)から細菌や化学物質が漏れだすことにより、歯根膜に炎症を起こすのです。

よって、根管治療は「細菌に感染し、壊死した歯髄を取り除き、可及的に無菌化をしたのちに、根尖孔を閉鎖する」こうすれば、殆どの症例で治ります。しかし、なかなかこれが、出来ないので上記のような不快症状が起こるのです。

それでは何故、根管治療が難しいのでしょうか?

 

  1. 歯は小さい→全長は2センチ数ミリから3センチ程度の長さで根の太さは数ミリ程度なのです。
  2. 歯は工業生産されたものではない→2つとして同じ形態の歯はありません。
  3. 口の中の前から奥まで並んでいる→前歯はそれほど見にくくはありませんが、奥歯に関しては洞窟の奥の天井にあるようなものです。
  4. 口の中は暗い→マイクロスコープのような機器を使わないと見えにくい。
  5. 上顎の奥歯などは、ほぼ見えない→取り外して治療をする訳にはいかない。場合によっては手が入りにくい事も多々あります。
  6. 歯根は根の先端付近で湾曲する→曲がっている先に根尖孔が存在し、この湾曲が根尖孔の閉鎖を困難にしています。この様な場合、側方加圧根充では根尖孔の閉鎖はほぼ無理です。
  7. 歯の中の根管は不規則な形態をしている→歯の模式図のような単純な形態をしていません。
  8. 根尖孔は根の先端にあるとは限らない→根尖孔の位置はまちまちです。
  9. 根尖孔の形態は丸いとは限らない→ワインの瓶のような丸い形態ではない。その様な形態の孔を塞ぐことは困難です。
  10. 歯は意外に硬い→口の中で硬い歯を削るのは一苦労です。
  11. 根尖孔の先には骨があります→充填材を根尖孔に押し込んだ場合、この微量の空気が根尖孔の外側にある骨に当たり、空気が抜けにくいのです。よって、充填材を根尖孔に近づけて、出来る限りの空気を押し込まないようにする必要が有ります。

 

よって、治療に際しては設備はもちろんの事、歯科医師自身が器用であることが要求されます。そして、歯科用CTなどで、術前の立体的な形態を把握しておく必要があります。歯に樹脂を詰める充填治療などは、治療自体を見る事ができます。よって差はそれほど出ません。しかし、根管治療は見えない部分を手探りで行います。そのため知識や経験、そして治療方法により大きく予後が異なります。

根管治療(歯根の治療)後のトラブルの原因

根管治療後のトラブル

根管治療後のトラブル

1,パーフォレーション

本来根管ではないところを削ってしまって、歯の内側から外側に向かって孔を開けてしまうこと。10年程度前までは抜歯になってしまいましたが、現在ではMTAセメントを充填すれば、殆どの場合で歯を残せます。孔を開けてから数カ月経ってしまった症例でも効果があります。原因としては、歯の立体的な形態の把握の不足です。ただ奥歯の場合、非常に見えにくいので経験不足の場合は起こりえます。実際にはかなりあります。

2,ストリップパーフォレーション

根管の側面に孔をあけてしまう場合です。根管の形態を無視して、ドリルを使用した場合に起こります。専門的にはエンド三角と言う部分をしっかり除去してからドリルを使用する様にします。しかし、現在ではエンド三角の除去をしなくても使える、柔軟性のあるニッケルチタン製のドリルが使われる場合が多いのです。それにより根管内側面の削りすぎを起こしやすいのが現状です。また、孔が開かなくても歯を薄くしてしまうと、将来的に折れやすくなります。よって私たち歯科医師は、根管充填がきっちりできる最低限の根管内切削をする必要があります。この場合もMTAセメントで塞ぐと治ります。ただし、本来の根尖孔の閉鎖を行てから、穿孔部を塞ぐ必要があります。これはテクニック的に非常に難しいのです。

3,側枝の閉鎖不全

根管は枝分かれをしている場合があります。この枝分かれの根管を側枝と言います。非常に細い側枝はそれほど問題にはなりませんが、ある程度の太さになると問題を起こします。それは、レントゲン写真を見ますと根尖部以外の根の横が黒く見えるケースがあります。この場合の多くは、大きな側枝の閉鎖不全が疑われます。これが原因で不快症状を起こしている場合も有ります。

4,根尖孔の閉鎖不全

根尖孔にしっかり蓋がされていない状態です。根尖孔までに隙間が存在している場合です。隙間と言っても1~2ミリ程度です。しかし、細菌の大きさからすれば大きな空間であることが明らかです。この空間に細菌が存在し、各種の化学物質が根尖孔から漏れる事により、生体にとってはその歯を異物として認識をされます。ただ、この根尖孔の閉鎖が非常に難しいのです。その要因としては

  1. 根尖孔は根の一番奥にある孔であり、曲がりくねった先に存在します⇒先ず、根尖孔を探すこと自体が非常に難しい
  2. 根尖孔の形は丸いとは限らない⇒固体の状態のモノを楕円形の孔に詰め込んで閉鎖するのは難しい
  3. 根尖孔の先は行き止まり⇒空気が抜けない構造なのです。根尖孔に詰め込むときに充填材を根尖孔に近い位置に持ってゆかないと、空気が抵抗して根尖孔がふさがらない
  4. 根管自体が湾曲している⇒真っすぐな根管は前歯くらいしかありません。奥歯の場合は全て曲がってます。この曲がった先の孔を閉鎖するのには道作りが重要

日本では40年間以上、現在でも根管充填(根尖孔の閉鎖)の方法は側方加圧根充という方法で教育されています。これは、固形のガッタパーチャと言う材料を根管の中に詰め込む方法です。シーラーという糊も使います。しかし、この方法で根尖孔の閉鎖ができるのは、根尖孔が円形である場合で、シーラーが詰め込んだガッタパーチャの周りに上手く回り込んだ時だけです。多くは根尖孔の閉鎖は出来ていません。これは抜歯をした歯をマイクロスコープで見ると明らかなのです。

米国の根管治療専門医では、この様な方法を用いていません。充填材としてガッタパーチャを使う事は同じなのですが、熱をかけて半固体状にして根尖孔を塞ぐのです。そうすると、形態が根尖孔にフィットした形に変化しますので、上手に行えば根尖孔の閉鎖はしっかり出来ます。ガッタパーチャは常温に戻ると固体になります。ただ、収縮も多少起こるためにシーラーという糊も併用します。

当院の根管治療は、この米国専門医の方法をもう少し改良した方法を用いています。ガッタパーチャを予め熱して半固体にした状態で根管内に挿入する方法です。この方法により根尖孔の閉鎖はほぼ確実に出来ます。

5,歯根破折

これが一番多いです。歯は咬む面がある程度欠けても問題有りません。修復が可能だからです。しかし、根が折れてしまうと抜歯は避けられません。この歯根が折れる理由は、根管治療後の歯に圧倒的に多いです。それは、歯の内面を治療に際して削る必要がどうしてもあるからです。つまり、根尖孔を塞ぐためにはある程度の切削をしないと不可能だからです。よって、必要最低限の切削にするべきなのです。当院で行っている垂直加圧根管充填は、最も少ない切削で根管充填ができる様にデザインされています。

6,根尖孔の過剰拡大

根尖孔とは、根の先にある直径0.1~0.3ミリ程度の孔です。この細い孔を通して血管や神経が入り込んでいます。この孔は年齢や人種によっても大きさは異なります。根管治療に際してこの根尖孔を閉鎖するのですが、オリジナルの根尖孔が0.1ミリ程度ですと、完全に閉鎖するのが困難になります。私どもの垂直加圧根充法では0.2ミリまでの拡大としています。この根尖孔を拡大しすぎてしまっている症例があるのです。それは、なかなか症状が無くならない場合、根管壁における細菌のためとの考えて、根尖孔を含めて過剰に広げてしまう場合があると思われます。また、昨今多く使われるニッケルチタンファイルと言う回転切削器具を根尖孔付近まで不用意に使うと、根尖孔付近で食い込む様な現象が起きます。これにより根尖孔を広げてしまうのです。

私どもが日常診療で、他の医院で治らないと来院されてくる患者さんを診察すると、根尖孔を1ミリ程度まで拡大してしまってあるケースもあります。ここまで拡大をしてしまうと、日本で通常行われれている側方加圧根充法ではお手上げになってしまいます。それは根管充填材が根尖孔からすっぽ抜けてしまうからです。よって多くは抜歯または、外科的な根管治療をせざるを得ないようになってしまいます。しかし、私どもが行っているケースルクト法による根管充填ではこの様な場合でも根管充填が可能です。それにより長く保存できている歯がかなりあります。

 

痛み・トラブルがあれば、まずは受診を

  • 根管治療に半年も通っている。いつ終わるか分からない。
  • 根管治療を受けたのに、そちら側の歯で咬めない
  • 根管治療を続けていたが、治らないので抜歯といわれた。

歯の神経を取ると言われる「根管治療の成否」が、後の抜歯の有無に大きく関わってきます。

→ スーパー根管治療について詳しくはこちら

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