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- 治療について - 歯の根の治療(根管治療)

歯の根の治療(根管治療)

根管治療ってなに?

歯の構造

歯の基本構造

歯は、口の中に出ている部分である歯冠と歯茎の下に埋まっている歯根とに分けられます。そして、歯の一番外側が人体で一番硬いエナメル質。その次が象牙質となっています。更に奥の歯の中には空洞があり、その中に歯髄という組織が入っています。歯髄は無麻酔で触ると激痛がするので、神経と呼ばれるています。しかし神経だけではなく、血管もあれば細胞もあります。

そして、歯髄は根尖孔という0.1~0.4ミリ程度の小さい孔を通して栄養供給等を受けています。

左の図は模式図であり、実際には歯髄はこの様な一定の太さはしておりません。もっと複雑な形態をしており、根尖孔も歯根の先端に無い場合も多数です。そして、下の写真の様に根尖部(根の先の方)で酷い場合は、90度に近い湾曲をしている場合も有るのです。

 

 

どんな時に根管治療が必要なの?

それは、歯髄の中に、虫歯などが原因で細菌が侵入してしまった場合です。

症状としては、夜中に歯が痛くて目が覚めたりする様な場合です。この場合、歯髄が壊死しかけた状態の場合が多いのです。通常の人体の組織の場合、細菌感染をしたからと言って壊死をするような組織は有りません。多くは抗生物質を飲んでおけば治ります。しかし、歯髄の場合は根尖孔からのみの循環系のために抗生物質の効果はなく速やかに壊死をしてしまいます。

そして、他の組織と違って、目でその組織を観察して、色などで健全性を判断する事が出来ないのです。それは出血していない状態で歯髄を見ることができないからです。つまり象牙質を削っていって、歯髄に達すると、完全に壊死をしてしまった場合を除いて、必ず出血してしまうからです。血液の色からでも少しは察しは付かなくはないですが、健全な歯髄なのか、少し程度感染した歯髄なのかは、見た目では殆ど分からないのです。この様な状態で歯髄を取り除いて根管治療をする事を「抜髄処置」と呼びます。ただ、できれば、この抜髄処置は避けた方が良い治療です。根管治療が上手くいったとしても、歯の強度が落ちるからです。よって、当院では歯髄を残せそうな場合は、抗菌剤や水酸化カルシウム製剤をつかってなるべく残す努力をしています。

また、一度根管治療を行ったにもかかわらず、空洞等の存在によって、根の先に膿が溜まって痛みが出た場合などに、再度の根管治療を行わなければならないケースもあります。これを「再根管治療や感染根管治療」と呼びます。ただし、何十年も前に根管治療を受けており、その後何ともなかった歯が突然、痛み出した場合の多くは、根管治療の不備と言うより、歯根(歯の根)が折れた可能性が高いことがあります。

そして、よく聞くのが、歯科医院に行ってレントゲンを撮影したら、根の先に膿がたまっていたから、根管治療が必要と言われ、それで治療を開始したら、何ともなかった歯が痛み出して、コントロールが不能となって抜歯を宣告されたとお聞きする場合があります。私どもでは、この様なレントゲンで確認できる根の先の病変(根尖病変や根尖病巣)は、症状が無い場合には経過観察とする事にしています。これは、レントゲンで根の先に病変の様な画像が見えても、膿が溜まっているケースは痛みが有りますので、瘢痕(かさぶた)みたいな様な組織変化が多いのです。よって経過観察が一番良いのです。ただ、痛み出したからといって、直ぐに抜歯となるかと言えば、その様な事はございません。治療で治るケースもかなりありますのでご相談下さい。

根管治療とはどんな治療?

簡単に言うと「歯髄の中の壊死物質を取り除き、洗浄消毒し空洞を塞ぐこと。更に、生体との交通路だった根尖孔の閉鎖を確実にすること」これが根管治療です。

根管治療の治療順序(抜髄処置)

1.壊死歯髄の除去 先ず、虫歯になってしまった部分を削って腐ってしまった歯髄組織を露出させます。 次亜塩素酸などの薬剤を使って消毒等をしながら、壊死をした歯髄組織を除去します。この際にマイクロスコープを使って、根管の内部の汚れをみます。
2.根先孔を探す 歯の中にマチバリの様なファイルという器具を入れて、歯の中から根尖孔を探します。しかし、模式図とは違い、かなり湾曲をしている場合が多いので、根管内の壁を少しずつ削ることにより、ファイルが入る道を探します。なお、この根尖孔は歯根の先端にあるとは限らないのです。
根尖孔は前歯では1つ。奥歯は3~4本ですので、奥歯は前歯の3から4倍以上の手間がかかります。
3.根の拡大 ファイルやリーマーと言う手用の器具や、電動で回転するファイル類を使って拡大します。根尖孔を閉鎖するための交通路を作るのです。
4.根の中の洗浄 根管の中に、医療用次亜塩素酸等を周囲にこぼさないように入れて殺菌します。EDTAと言う溶液で、ミクロン単位の歯の削り屑も取ります。
5.根管充填 歯髄の中に、ガッタパーチャ+セメントで根の先を緊密に充填します(根管充填)。 その際に最も重要なのは、根尖孔の閉鎖です。確認のためにレントゲンを撮影します。閉鎖が出来ていない場合は、やり直しをします。当院の場合は垂直加圧根充を採用しています。根管充填の詳しくはこちら
6.支台築造 被せるための土台(コア)をグラスファイバーとレジンで作ります。前歯で健全な歯質の部分が多かった場合には歯の裏から樹脂を詰めて治療を終了する場合も有ります。
7.被せます セラミックの様な素材を使用した冠を被せて終了です。

重要なステップは2の根尖孔を探すステップと5の根管充填です。つまり根尖孔が発見されていないと根管充填ができないからです。この根尖孔を探すのは諦めれば簡単です。それを探すのに時間と根気が必要になります。このステップは手作業でしかできません。しかし、日本の健康保険の根管治療の診療報酬は、その様な苦労に対しての報酬は有りません。。。。

根尖孔を探す

根尖孔を探すのは非常に根気がいります。

治療の回数

垂直加圧根充法を採用している場合は、上記の4までのステップが終了すれば、5の根管充填をして終了です。よって健康保険の場合でも1回から5回程度で終了します。ただ、日本で主に行われている側方加圧根充法は、症状が無くなるのを待ちます。この間に消毒剤の交換というステップが延々と入ります。よって半年とか1年通っている場合もざらにある様です。違いは、垂直加圧根充を用いて根尖孔の完全閉鎖ができると、生体の治癒能力で症状は速やかに消失するので消毒剤の交換などは不要です。逆に、側方加圧根充法は根尖孔の閉鎖は非常に不完全ですので、咬んで痛みがある様な場合に、根管充填を行っても治らない場合が多いので、症状の消失を待つのです。

日本の保険診療の根管治療がかかえる問題点

先進国で、インプラント1本よりも根管治療が安い国は日本だけと言われています。
米国では大臼歯の根管治療は12万円~30万円程度と言われていますが、何と日本での大臼歯の診療報酬はトータルで2万円弱です。しかも患者さんのお支払いは、この3分の1で済みます。よって、この診療報酬で垂直加圧根充法でしっかりと根尖孔の閉鎖を行うのは、かかる時間などを考えれば採算は全く取れません。

当院では、通常の保険診療の根管治療も行っておりますが、より精度を求めた自由診療のケースルクト法を用いた根管治療(スーパー根管治療)も行っております。スーパー根管治療はCTによる立体的な画像診断を行った後にマイクロスコープ、ラバーダム、使い捨ての器具類、根管充填に併用するセメントはバイオセラミックセメントを用いて治療をします。できれば、自由診療の根管治療をお選べいただければ幸いです。スーパー根管治療の詳細はこちら

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